2005.9.14. 晴れ（いまだ暑いですねぇ） （カワセミ王国 ポイント：D0087point）
おっと、お客さんです。硯（すずり）と紙を届けてくれたの？
ありゃ、違うようです。爪楊枝を届けてくれたのか。
あ、手紙も届けてくれたのね。
なになに、「私はずいぶん目にあっている。私の辛さを教えてあげて。」とな？
差出人はヨーロッパウソとなってますねぇ。そうかー、はるばるＵＳＡから来てくれたんだね。 ＞うさチャン
なるほど、爪楊枝で小鳥の持ち方を説明してやってくれ、と(;_;)。いかに酷いことされてるかを広く知らせてくれ、と(;_;)。
よーし、やってみるぞー。皆さんも一緒にやってみましょう！！
まず、爪楊枝を２本用意します。
これを小鳥の足に見立てましょう。（実際もっと細い種も少なくないけど）
小鳥の足なんか持つべきじゃないことは分かってるけれど、仕方なく持つときは、指先で足の基部を持ちます。
こんな感じ。指先ならば、力を微妙にコントロール可能でしょ？
では、悪質バンダーが写真を撮るときの持ち方。指の股で足をはさみます。
どうですか？スカスカでしょ？力加減もへったくれもありません。ぴたっと止まらないから必要以上の力を加えてしまいそう。危険です。
第一関節と第二関節との間でやっても同じです。力加減はコントロール不能。やはり危険な状態です。
こういう不安定な状態だと、ついつい親指が出ちゃます。どう出るかというと、下から出るしかないわけで。
これは、さらに危険な状態なのです。
この時、足にはどんな力がかかるかを想像してください。力が加わる点（作用点）の数を考えましょう。親指が出た状態では、少なくとも作用点は３カ所となります。つまり同時に違う３カ所に力がかかります。こうなると単純にはさまれる時の圧縮荷重ではなくて、剪断荷重が加わるのです。つまり３点で支えて「へし折る力」がうまれてしまうわけです。
実際にはもっと複雑で、もっと危険です。もう一度復習です。仕方なく足を持つときは指先で足の基部を持ちます。（下の図のピンク矢印の位置）
ところが悪質バンダーは、もっと下を持ちます。人間でいうと大腿にあたる所を持つべきなのに、もっと下なのです。何がありますか？そう、人間でいうとひざにあたる部分があります。このひざの関節の上下に、「へし折る力」が加わります。まるで「関節技」をかけられた状態です。
cited from: Noble S.Proctor and Patrick J.Lynch, Manual of Ornithology , p.289, New Haven : Yale University Press, 1993
さらに、人間の指は鳥の脚より圧倒的に太いので、広い範囲に複雑な力が加わってしまうのです。
このヨーロッパウソの雌（左側）の持ち方を見てください。
cited from http://wanderingbirders.blogspot.com/2005/05/ringing-at-ferry-meadows.html
親指と人差し指と中指で、ひざの関節を「へし折る」力をかけていると思いませんか？さらに、薬指の第一関節あたりが上向きの力を加えているように見えます。これは鳥の体を上向きに押し上げる力、つまり足を「引っこ抜く」力です。こんなことをして無事なのでしょうか？無事な方がヘンだと思うのですが。
この例だけではありません。このトラツグミなんてもっと酷いですね。想像してください。ご自分の足を２本の太い丸太の上に固定している様子を。１本はふとももの下に、もう１本はふくらはぎの下です。この状態で、ひざの上にもう１本の太い丸太が落ちてくることを。なにが起こるか容易に想像できるでしょう？
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