2005.9.4.その3  晴れ  カワセミ王国 ポイント:D0087point)


【鳥の持ち方】

   

Manual of Ornithology という書籍を手に入れました。アメリカのエール大学出版(Yale University Press)から1993年に刊行されたものです。amazonのレビューには次のようにあります。

This book-a visual guide to the structure and anatomy of birds-is one of the most heavily illustrated ornithology references ever written. A concise atlas of avian anatomy, it contains more than 200 specially prepared, accurate, and clear drawings that include material never illustrated before. The text is as informative as the drawings; written at a level appropriate to undergraduate students and to bird lovers in general, it explains why birds look and act the way they do.

要するに、鳥の構造とか解剖の本格的なビジュアルガイドで、精密な図が豊富な鳥類学のリファレンスたる文献です。352ページにのぼる内容は、鳥類学全般を網羅しておりまして、バンディングについても BANDING AND HANDLING WILD BIRD (バンディングと野鳥の扱い)の章で、図解入りで詳しく解説されております。

このバンディングと野鳥の扱いの章には、Handling a Small Bird for Photography(写真撮影のための小鳥の扱い)が図解入りで載っています。まずは、この部分をわかりやすく意訳してみようと思うのですが、どっかの有能な研究者様に恣意的な訳だなんて言われるとヤなので、まずは当該部分を原文で引用しますね。

 

 

(ページ下の図)

正規の(通常)持ち方

 

検査あるいは撮影のために、全身がよく見えるように提示する方法を示す図

Holding a Small Bird for Photography

Most small songbirds should normally be held for examination or measurement as shown in the figure at the bottom of the page. However, this conventional method of handling birds is unsuitable for photographing captured birds because the hand covers too much of the bird's body. Photography should be the last step in the process of examination or banding, as there is always the possibility that the bird will escape while being handled.

Small to medium-sized birds may be held up for examination or photographs by gripping the very tops of the bird's legs with your fingertips, as shown here. Some birds will flap their wings when first held up in this position; don't try to restrain the bird's wings --just let it flap. Most birds quiet down quickly. Most birds will allow you to extend one wing gently to get a better view of wing colors and patterns. If the bird struggles violently or your grip on the legs slips, LET THE BIRD GO. If you attempt to hold onto the bird, you risk injuring its legs or wings .

( cited from ref.1)

 

ほとんどの小鳥は、検査あるいは測定のためにはページ下の図で示されるように、正規の持ち方で保持されるべきです(訳者注:上の左図)。しかしながら、この通常の鳥の持ち方は、捕獲した鳥の撮影に適しません。なぜなら、手が鳥の身体を過度に覆ってしまうからです。写真撮影は、検査あるいはバンディングの最終段階で行われるべきです。というのは、写真撮影のための保定中(保定=鳥を保持すること)には、常に鳥が逃げる可能性があるからです。

小型〜中型の鳥を、検査あるいは撮影のために、全身がよく見えるように提示するには、ここに示されるように(訳者注:上の右図)、指先で、鳥の脚の基部を持ちます。このような位置に保持されたとき、はじめのうち翼を広げる鳥もあるでしょうが、翼をおさえつけてはいけません--広げるのであればそのままにしておきます。ほとんどの鳥は、すぐにおとなしくなります。ほとんどの鳥は、あなたが翼の色やパターンをもっとよく観察するために片方の翼をそっと広げても、されるがままになっているでしょう。もし、鳥が激しく暴れたり脚をつまんでいる指がすべったりしたら、鳥を放しなさい(訳者注:この文は太字で、しかも全部大文字で強調してあります)。もしあなたが鳥を保持し続けようとすると、鳥の脚や翼を傷つけるおそれがあるのです。

 

ref.1) Noble S.Proctor and Patrick J.Lynch, Manual of Ornithology , p.289, New Haven : Yale University Press, 1993

 

こんな感じに訳せます。つまり、バンディング時の測定や写真撮影においても、鳥の保持(保定)の仕方は、あくまでも上の左図が基本なのです。なぜなら、鳥への負担が一番少ないからです。この保定方法は、飼い鳥でも一般に用いられる方法で、獣医さんも、このように保定するよう指導してくれます。

 協力:文鳥のレースくん(^_^)

 

 

検査あるいは撮影のために、他に方法がなくて仕方なく、全身がよく見えるように保持するやり方が上の右図です。「指先で、鳥の脚の基部を持つ」とあります。いいですか?指先で脚の基部を持つのです。こういう風に、指の間にはさんで持つとか、基部とはほど遠い下肢をはさんで持つ、なんてことはどこにも書いてありませんね。なしてや嘴をつまんでぶら下げるなんて持ち方もどこにも見つけられません。

鳥を飼っている方々や獣医の皆さんは、『バンダーがやってる保定法』を見ると、驚いて異口同音に「こんな保定法では脚を痛める」「場合によっては折れてしまう」「自分が鳥を保定するときには、こんなことは絶対しない」とおっしゃります。

 協力:小桜インコのきな粉くん(^_^)

 

以上、web上に見られるバンダーの鳥の保定方法は、どこにも書いていないし、鳥を扱った経験のある人々が「やっちゃいけない」と口を揃えておっしゃる方法だということがわかりました。

「鳥が激しく暴れたり脚をつまんでいる指がすべったりしたら、鳥を放せ」とあります。が、この人はヤマセミとオシドリが暴れているのに(ヤマセミは羽ばたいているし、オシドリの姿勢にも注目:大人しくしているように見えますか?)喜色満面で記念撮影してますね。

「翼の色やパターンをもっとよく観察するために片方の翼をそっと広げる」と書いてあります。翼端を引っ張って翼を広げさせるのを「そっと」と言えるのでしょうか?

研究のための記録として撮影するならば、鮮明で精密な写真を撮らねばなりませんよね。ところがワタシはそういう写真をひとつも見つけられません。 ヘタクソ 不鮮明だし、 ただの記念撮影の 研究のために細部を記録しようという意志の感じられない写真ばかりです。だって、捕獲した鳥を指にはさんで「ハイ、チーズ」ですもん。

 

あと、もっと大きな疑問があるのです。

このような、いつ事故が起こっても不思議でない危険きわまりない保定法で(実際に事故は起こってると思いますよ=この場合は勝手な想像ではなくて演繹的思考と言うのだ)、写真を撮って、それが何かの役に立っているのでしょうか?だって、

 

バンダー自身は研究してないでしょ?バンディングのデータは山階鳥類研究所に送られて一括管理されて研究に供せられるそうですが、それなら、バンディング時の写真も全部送ってるのですよね。だって、送らないと一切研究には使われないワケじゃん。研究用の写真だなんて言えないじゃん。

 

え?鳥の識別能力向上も学芸員の重要なお仕事なんですか、そうですか。じゃあ、あんなボケボケ写真が亜種の識別とかに使えるんですかぁぁぁ?ただのコレクションだったら許さねーぞ(`_´)。ワタシが、なぜ、こんなに鳥の持ち方にこだわるかというと、脚は鳥にとってきわめて重要なものだからです。持ち方だけではありません。インターネット上で見られるバンダーの鳥の扱い全般にワタシは大きな疑問を持っているのです。声を大にして聞きたい。

鳥を保護するための調査なんですよね?

良識あるバンダーの皆さん、ここらで悪徳バンダーをなんとかしないといけないんじゃ。。。

 

鳥の脚(足)の重要性

 

このページを作るに当たって、たくさんの方にご支援・ご協力いただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。m(__)m


 

前々からバンディングについて思うところがあったのです。

和田剛一カメラマンのwebサイト http://www.asahi-net.or.jp/~yi2y-wd/ まだ死んでないぞ。元気いっぱいだぞ。

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・「じゃあ何もしないの?」………近いうちに報告できると思います。


  

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