2005.8.29.その3  晴れ(もうすぐカワセミ三番子が巣立つのにー)  カワセミ王国 ポイント:D0087point)


【学会って】

 研究者についていくつかのテキストを書きました。で、その次に来るのは、研究者が構成する学会についてです。野鳥に関わる学会はいくつかあるようですが、ワタシはそのどれにも参加したことないので、一般論として、学会について書いてみます。野鳥に関わる学会にも当てはまることは少なくないように思いますが。。。

 皆さんは、研究者の業績ってどのように評価されるかご存じですか?企業なんかでは人事考課というものがきちんとなされて、かなり厳格な評価が行われ、その結果に基づいて昇給や昇進あるいはリストラ(<おいおい!)が行われますよね。一方、研究者の業績評価って全然違うんですよ。何を使って評価するのか?それは発表論文数なのです。ですから、多くの研究者は基本的に論文を書きたがります。数を稼ぎたいわけです。そうなると何が起こるのか。。。ワタシのような若輩者が書くと説得力がないので、前・東北大学総長(岩手県立大学 学長)の西沢潤一先生の文章を紹介します。(ある大学の入試問題に使用されたものです)

 

〜[前半略]〜 

 そもそも、大学は自ら研究を行うことによって教育するところが他の学校群と相違している。だから大学に入ると、生徒から学生になる。それを平等対等の建前論の上に、全大学が米国流のティーチィング主体の教育カリキュラムに変えた。米国の中でも実力のある大学のやり方が導入されず、画一的な大学の手法が広く導入された。

 それでいながら海外学留学が重視されるという矛盾を産み、近年研究拠点を指定する「センター・オブ・イクセレンス」という名の下に、研究の一極集中が急に実施された。これも即効性を追う権威主義的思考の現れであり、実績主義ではない。論文の質より数が問題になるなどの例からわかるように、世の中になかなかいれられないような、独創的研究はいち早く落後させられてしまったのである。

 研究大学として、戦前、その顕著な成果を誇った某大学には十の研究所があったが、現在七つに減少した。著しく増加した他大学と対照的な現象を示している。

 入学試験についても、受験塾で養った暗記知識を使うことが多くなった。思考力が低下していわゆる秀才型学生が優位に立つことも手伝って、秀才型研究が奨励されるようになるから、日本の基礎研究からは一流品が出なくなったという評も近年よく聞かれるようになった。

 ちょうど、中国の科挙制度が、当初は野の遺賢を拾い上げるということで大きな功績を挙げたが、次第に行き過ぎて、いまも残っているすさまじいばかりのカンニング道具に見られるように激烈な記憶競争となって、遂に、融通のきかない形式主義的権威に堕していってしまった。そして、遂には国を滅ぼすことになっとまでいわれるが、何かよく似た事象に見えるのだ。

 研究者の多くは戦後の窮乏に耐え、貧乏生活に甘んじ、家族の協力もあって、研究に傾倒してきた。しかし、一九六五年ごろから起こった大学紛争は研究室の人的構成を破壊し、優秀な人材は堰を切ったように企業に流出し、日本からは孤独な独創的研究は急激に壊滅した。

 学生は流行の先端を研究することを好み、最新型の企業製研究機材を使ってでなくては研究をしなくなった。実は、これはただの二番せんじ三番せんじの研究なのである

〜[後半略]〜

センター・オブ・イクセレンス:研究の中心的拠点となる集中的研究施設
研究大学          :研究機能と教育機能のうち、前者に重点を置く大学
科挙制度          :中国で行われた官吏登用制度

 

 ちょっと難しい文章ですかね。いろいろな問題を示唆した文章ですが、今回は論文の質より数が問題になるっていう部分に注目しましょう。論文の質ってなんでしょうか。もちろん内容のことなのですが、どんな論文の質が高くて、どんな論文の質が低いと言えるのでしょうか

 質の高い論文とは、ズバリ、今までわからなかったこと・不可能だったことを示したり実現したりしているものです。じゃあ、今までわからなかったこと・不可能だったことを示しているという証拠はどこにあるのでしょうか。それは、後にどれくらい多く他の論文に引用されたか、です。引用されたということは、その論文の内容が他の研究を進めてくれたり、新しい研究を生み出したりしたことになるからです。

 では、質の低い論文とはどんなものでしょう?まず、

1.引用されない論文 ---- これは上述の通り

でも、それ以前の論文がいくつもあります。次のようなものです。

2.日本語で書かれた論文 ---- 日本人以外だれも読もうとしません。(日本語の学会誌や業界誌に寄稿することもありますが、世界共通語=英文で書くのが基本です---多くの人に読んでもらいたいならば。)

3.査読の甘い(無い)論文誌に掲載された論文 ---- 内容が、科学的であるか・論理に矛盾は無いか・新規性があるか・データ再現性があるか、などなどを、その分野の複数の権威が審査し(査読といいます)、査読者(レフェリーといいます)に内容に不備を指摘されれば、追加データや書き直しを求められます。それができないと不掲載とされます。つまり書いた論文が必ず掲載されて公表されるとは限らないのです。これが本来の姿です。ところが、査読がたいへん甘い論文誌や事実上査読のない論文誌も存在するのです。査読の厳しい論文誌ほど権威が高いのは当然で、その逆は....以下自粛

 

このように、研究論文ってきくと「うわ、すげー」「むずかしそー」と思いがちですが、たいしたことない論文のが多いかも知れません。世界中で引用される論文を発表している研究者など、どの分野でもほんの一握りにすぎないのです。

逆の見方をすれば、質なんか気にしないで数を稼ぐには、査読の甘い(無い)論文誌にどんどん投稿すればよいことになります。こういう論文誌はたいてい日本語の論文誌だったりするのですが。こういう研究論文の内容が必ず信頼できるものとは限らないのです(残念ながら)。だって、厳密な審査を経て掲載されるわじゃないですから、誤りや論理の破綻、最悪ねつ造だってあり得ますよね(あって欲しくないですが)。

 

 さてさて、この論文誌は査読はあるようなんですが、この論文のレフェリーをしたのは、どんな大先生なんでしょう。ワタシなりにこの論文の内容を要約してみます。

 バンディングを行ってたら、一般市民や研究者の一部が「野鳥にとって危険だからやっちゃいけない」と言って来る。んなことは、危険性を過大評価してるやつらの根拠の無い杞憂に過ぎないのだ。今回は足環が鳥の生活に支障をあたえない程度に十分軽いってことを示しちゃうよ。

 かすみ網を使ってウグイス、ウソ、エナガ、オオルリ、キクイタダキ、キセキレイなどを(かたっぱしから)捕まえて体重を測って、着けた足環の重さと比べたら、足環の重さは体重の2%以内だから問題ないと思うよ。だって、コゲラの雛のしたフンは体重の3.2%もあったもん。フンより足環のが軽いもん。それに、鳥の体重は一年間に数%〜20%以上も変化したから、足環の2%のがずっと軽いもん。だから足環の重さは鳥に負荷をかけてないと思うよ。

 標識調査の過程で鳥を死なせてしまう失敗もあったけど、これは作業中の不注意が原因で、足環が原因の悪影響を証拠づける資料は無いもんね。だから、研究者が十分経験を積んだら事故は最小限に抑えられるし、足環自体の障害はほとんどないもんね。足環を着けたコゲラの指が後で損失したことあるし、コゲラの巣の雛の齢を間違って作業して一腹の半分を数日早く巣立たせちゃったけど、足環が原因じゃないもんね。足環自体の障害はほとんどないもんね。ノグチゲラのバンディングに反対している人たち、わかったでしょ。ノグチゲラに足環つけてもオッケーなんだよ。だから、はやくノグチゲラにバンディングしたいな。

(一部、ワタシが行間を読んで補足しておきました----科学的じゃないなぁ)

いやはや、驚きです。ウンチと足環を比べています。体重の変化と足環の重さを比べています。全身に塗布するような方式でなくて、脚という局所への足環装着なんですから、個体への負担は、装着する脚の重量との関係で論ずる必要があるんじゃないですかね。ワタシは、この論文の論理は完全に破綻していると思いますよ。体重50kgの人間に皮下脂肪の重量増が1%の500gあったときの負担と、500gの鉛を入れた靴を履いたときの負担を等価に論じているわけですよ。こういうのを論理破綻というのです。ワタシは問いたい。缶ジュースを飲んで富士山に登るのと、片方の靴にぶら下げて登るのと、同じなのか?って。

 

こんな論文が飛び交ってる鳥の学会って(+。+)。。。数稼ぎたいの?この場合は違うかな。皆さんはどう思われますかぁ?

 

論文のオハナシの続きはコチラ

 


 

前々からバンディングについて思うところがあったのですが。

和田剛一カメラマンのwebサイト http://www.asahi-net.or.jp/~yi2y-wd/ まだ死んでないぞ。元気いっぱいだぞ。

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一部の標識調査員の暴走の典型例だと思われるページをぜひ。ここにまとめてあります。---他のサイトにもたくさんあるのですが。。。そのうち一覧表を作ります。

*お読みになった率直な感想をぜひ掲示板へお願い致します。

 

 

抗議メールを送ってはいけません!ご注意!

まずは、現状を多くの人に知らせることだと思います。野鳥に興味のない人や野鳥を知らない人にも見てもらいましょう。家族や友人や彼女や彼氏にも、見てもらいましょう。webサイトを運営されている方は、ご自分のサイトで紹介してください。野鳥系のサイトでなくても、全然違う分野のサイトだって構いません。

義憤にかられて抗議メールを送ったところで前進はないと思います。

まずは、多くの人に知らせること、コレ、重要なのです。

・「じゃあ何もしないの?」………ちょっと潜航中。


  

--ご意見表明してくださったり、バンディング問題を紹介してくださったサイト--

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