野鳥標識調査(バンディング)を取り巻く様々な問題や矛盾があらわになっているwebサイトがここです。75ページにわたりますが、特に問題だと思われるこの6ページを。

http://www.rakutai.co.jp/etc/nakagawa/doc/051.html 2羽のカワセミの嘴をつまんでぶら下げています。翼も引っ張ってます。引っ張ってるのは、バンダー資格はない先生のようです。小学校の先生や生徒にカワセミを持たせています。バンダー資格のない人間が野鳥を触ってはいけません。

また、捕獲された川の畔から小学校までカワセミを連れてくる時間・子供たちを集めてカワセミをもたせて写真を撮るのにかかる時間、などいったいどれだけの時間カワセミ達は拘束されていたのでしょう。また、小学校の校庭で放鳥しています。捕獲地点から遠く離れた場所で放鳥するのは大きな問題です。

http://www.rakutai.co.jp/etc/nakagawa/doc/052.html オシドリのオスとメスを捕獲して小学校に連れて行って「押し掛け出張授業」。捕獲したカワガラスの翼を引っ張って小学生と一緒に「ハイ、チーズ」。アオサギの首根っこをつかんで無理矢理翼を広げさせて「ハイ、チーズ」などなど。

とくに、絶滅危惧種のオシドリを2つの小学校に連れて回っての「押し掛け出張授業」が問題です。捕獲場所から最初の小学校までの移動時間・授業、そしてまた移動、授業、捕獲場所へ戻る時間など、一体どれほどの時間オシドリたちは拘束されていたのでしょうか。捕獲した野鳥を車に積んで長距離移動することなど許されるはずがありません。

http://www.rakutai.co.jp/etc/nakagawa/doc/057.html 捕獲したオシドリとヤマセミを町役場に連れて行き職員とともに「ハイ、チーズ」。こういうのは「標識調査員の特権」とも書いてあります。これも、捕獲場所から町役場まで移動しているわけです。しかも記念撮影は役場内のようです。環境省の担当官は「許されることではない」とコメントしました。

http://www.rakutai.co.jp/etc/nakagawa/doc/061.html 捕獲したケリの翼を引っ張って小学生と一緒に「ハイ、チーズ」。自分でも「記念写真パチリ!」と書いています。「大サービスのミニ愛鳥教育を実践しました。」とも。こういう行為は教育といえません。

http://www.rakutai.co.jp/etc/nakagawa/doc/069.html 愛弟子(?)が、捕獲したヤマセミとカワセミを小学校に連れて行って「押し掛け出張授業」。完全徒弟制度のバンダーは、弟子が同じ事を繰り返します。悪質なバンダーに師事したバンダーは悪質なバンダーになるのです。

http://www.rakutai.co.jp/etc/nakagawa/doc/070.html 捕獲したカワセミに「標識足環をプレゼント」して、校長先生に放鳥させています。また、「メボソムシクイが捕獲できた。環境省の標識足環を装着し、生態研究に欠かせない調査方法であり、野鳥の保護の為にも大切な調査であることを説明し、再びどこかで発見されることを祈って放鳥した」とありますが、まさか学校でそのまま放鳥したのでしょうか?

「こうした実際の鳥の温もりを感じ、形態をつぶさに観察できる鳥類標識調査を」とありますが、鳥類標識調査の趣旨から完全に外れています。これだけの子供たち全員に「温もりを感じ」させていたなら小さな鳥は弱ってしまいます。

 

---野鳥の翼を引っ張って記念撮影することが教育なのでしょうか?

---加減の分からない子供たちに、しかもたくさんの子供たちに、小さな野鳥を触らせるのは大変危険なことです。

---これらはいずれも、明らかに鳥類標識調査から逸脱しています。では、「環境教育」も兼ねているなら全て許されるのでしょうか。そもそもこれらの行為を「環境教育」と言えるのでしょうか。

 

これらのページをご覧になって、多くの方は嫌悪や憤りを感じられたことと思います。「調査」とか「教育」を議論する前に、多くの方が嫌悪や憤りを感じる行為そのものが、最も大きな問題点なのかも知れません。

そして、私が最も危惧することは、子供たちが「生き物はこういう風に扱ってもいいんだ」と誤った認識を持つことです。教育とは、命を慈しむことをまず第一義とすべきではないでしょうか。それをないがしろにして調査の重要性を説いたところで、子供たちは何を吸収するのでしょうか。

紹介したwebページが新聞社の公式サイト上にあり、画像には小学校や町役場の人たちも写っています。掲載されている画像を見て文章を読んで、誰も疑問を持たなかったのでしょうか。私は驚きをかくせません。と同時に、恐ろしいことだと思います。