2005.12.13.その1 


 

質問状に対する山階鳥類研究所からの回答が届きました。いただいた回答に対する疑問点をいくつかまとめてみます。

 

1 今月出される(出された)通達はどのような内容か。

回答:鳥類標識センターでは定期的にバンダーに対して、一斉連絡を行っており、その中で調査への注意事項も連絡周知するようにしています。10月に配布した文書では、以下のような内容を加えました。

 バンディング啓蒙活動等に関して、指導者の資質、受け入れ体制、鳥への配慮、法的問題への考慮、レクチャー内容の充実など注意点を示しました。また、ホームページ作成に当たっては、説明不足や不適切な表現による誤解も起るようになってきているため、表現には充分注意することや、使用する写真等については不快な印象を与えないような配慮を指示しました。

(疑問点)配布した文書とは、次のようなバンディングセンター事務連絡と思われます。これは、全バンダーに送られる連絡書です。雑多な連絡事項が書かれたものです。環境省は「異例の通達を全バンダーに出す」と言っていましたが、雑多な連絡事項の中の1つの項目に過ぎない「通達」だったようですね。

さて、逸脱行為や虐待行為がバンディング啓蒙活動なのでしょうか?

ホームページ作成に当たっては、説明不足や不適切な表現による誤解も起るようになってきているため、とありますが、表現が不適切なのではなく、掲載されている行為そのものが不適切であるとは認めていないわけです。不快な印象とは別次元の問題---法令違反なのではないですか?

 

2 今後調査からはずれた行動を抑制する具体的対策を示して欲しい。

回答:バンダーになるときの講習会、および定期的なバンダーへの一斉連絡等の機会に、バンダーの義務を厳守することを今後とも周知徹底いたします。

(疑問点)周知徹底することは「具体的」とは言えません。全部のバンダーが、この定期的なバンダーへの一斉連絡を理解しているのか、いえ、読んでいるのかすら疑わしい事例を紹介します。周知徹底とはほど遠いようです。

以下の写真は、11月13日---つまり10月の通達が出されたあと---に撮影されたものです。野鳥観察会でかすみ網に遭遇した方からお借りした写真です。ちょうどウグイスが網に絡まって暴れていたそうです。

 観察会の案内者が連絡したのでバンダーが飛んできました。

この時、バンダーに次の質問をしたそうです。

●かすみ網の見回りはどれくらいの間隔で行うのか?

●かすみ網は張りっぱなしなのか?

●調査の際に掲げることが義務づけられている、山階鳥類研究所の赤い旗が見えないがなぜか?

このバンダーは次のように答えたそうです。(複数の証人がいます) 

●網の見回りは2〜3時間おき

夜の間はかすみ網は「張りっぱなし」(観察施設の休館日前や、明らかに雨が降りそうな時は、網をたたむ)

赤い旗は掲げていない。(立入禁止の保護区だから掲げる必要がないという認識)

下線部分は明らかにマニュアル違反です。

 

●網の見回り間隔は、無風・曇天の条件のよいとき1時間、日射・極寒など条件のよくないときはもっと短くするよう、マニュアルに記述があります。(p.36)

●かすみ網を張ったまま放置するのは論外でしょう。夕方かかった鳥は、朝まで放置されることになります。弱って死んでしまうことも十分考えられます。さらに、かすみ網を放置することは、かすみ網を盗難の危険にさらすということです。所持することすら法律で禁止されたかすみ網なのです。密猟者の手に渡ったらどうなるのでしょう。

マニュアルp.42には次のようにあります。

カスミ網は「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」で所持してはならない猟具として規制されているが学術研究を目的とする場合は、〜〜中略〜〜しかし、ひとたび密猟者たちの手に渡れば、猟鳥・保護鳥の区別なく捕殺され、鳥類保護上非常に悪い結果を招来する。また、バンダーが不注意に網を放置すれば、網にかかった鳥が弱って死ぬこともあり、また、網から外す際、乱暴に扱えば鳥を傷つける。かすみ網はこのような性質を持っているので、バンダーは、網を扱うときには細心の注意を払う必要がある。〜〜中略〜悪用されないように、また紛失や盗難等のないように、使用、保管に関しては十分気をつけなければならない。

●立入禁止の保護区なら山階の赤い旗は掲げる必要がないことなど、どこにも記述はありません。普段は立入禁止でも、観察会で人が入るのです。また、立入禁止区域外からかすみ網を見つけた人はどう思うでしょうか?

マニュアルp.36には次のようにあります。

調査中は旗や腕章を表示し、特別の許可の下に実施中であることを通行人や住民の人達に明示すること。

このバンダーはマニュアルさえ読んでいないのでしょうか?好き勝手な解釈で、好き勝手なことをやっています。そして、監督すべき山階鳥類研究所は、その事実をまったく把握していないのです。

「鳥類標識調査マニュアル」最新版 chousamanual.pdf(pdfファイル、19.6MB)


 提示が義務づけられている赤い旗  

 


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