2005.9.5.その2  雨  カワセミ王国 ポイント:D0087point)


【唖然・呆然・慄然】

カワセミ日記の読者の方から、標識調査報告書の第8版(1996年版)を送っていただきました。(現在はどうなっているのかは調査中---でも少なくとも1996年までは、こんな具合だったわけですよ。)

で、このページをよんでひっくり返りました

 

バンディング時には、捕獲した野鳥のデータを取ります。そのデータを、下のような鳥類標識調査個別記録表に記入します。このデータなのですが、ワタシは当然、山階鳥類研究所に全部送られて一元管理され、研究に供せられているものとばかり思っていました。

なのに、

「測定値は入力されていない。誰が測定値を持っているかはわかる。測定値については測定者の所有という考えていいとおもう。」だそうです。

はぁ?撮影された写真どころか鳥類標識調査個別記録表のデータさえ一元管理されていなのでしょうか。じゃあ、一体何を研究してたのですか?鳥類標識調査(バンディング)って、ただ捕獲して足環をつけるだけなの???再捕獲して足環を確認するだけ???

 

山階鳥類研究所のホームページには、鳥類標識調査について、次のように出ています。

● その歴史

 日本の鳥類標識調査は、1924年に農商務省によって初めておこなわれました。1943年に戦争で中断されるまでの20年間に約31万7千羽が標識放鳥され、約1万5千羽の回収が得られました。戦後は1961年から農林省が山階鳥類研究所に委託して再開しました。その後、1972年からは環境庁(現在の環境省)がこの事業を受け持ち、山階鳥類研究所へ委託して調査を継続しておこなっています。1961年から2000年までに約300万羽が標識放鳥され、約1万8千羽が回収されました。最近では全国で毎年約20万羽の鳥が標識放鳥され、今までわからなかった日本の渡り鳥の行き先や渡りのコースなどが、次第にわかるようになってきました。

 

1961年から2005年までの40年以上、膨大なデータが蓄積されていると思ったのに。。。。無いのか?データはバンダー個人のことろに埋もれてるのか?データが研究に役立ったんじゃないのか?野鳥の保護や自然保護のためになったんじゃないのか?

一体なんなのだ??

 

では、捕獲して足環をつけて、再捕獲して足環を確認できたデータはどうなってるのでしょう。

奄美で調査を続けられている鳥飼氏が、ご自分のデータを公表してくださいました。それによると(2002年07月〜2005年8月)

●放鳥数  

847羽

●落鳥数

11羽(私的メモからの合算で正式記録ではない)

●再捕獲数  

17件

標識調査の最中に11羽が死んでいます。一方、再捕獲されて野鳥の移動のデータを得たのは17件とあります。

再捕獲率 = 17÷847×100 = 2.0%

落鳥率(死亡率) = 11÷847×100 = 1.3%

という数値を得られます。つまり、20個のデータを得ると同時に13羽を殺してしまうという調査法なのです(データには水鳥のアナドリが入っているので、スズメ目に絞れば再捕獲数14・落鳥数11となるとのご指摘を受けました:05.10.19)。誤解の無いように申し添えますが、このテキストはバンダーの方を批判するものではありません。なぜなら、この調査方法はバンダーの方が考案したものではないからです。バンダーの方は、指定された調査方法で標識調査を行っているボランティアなのです。調査法に対する批判は、山階鳥類研究所と環境省へ向けられるべきでしょう。

鳥飼氏のような、注意深いバンダーでさえ---上記の山階鳥類研究所の記述からは再捕獲率は0.6%と出ます。鳥飼氏の再捕獲率2.0%は抜群の数字といえるでしょう---1.3%の落鳥を避けられないのです。他のバンダーでは、もっと落鳥率が高いであろうことは容易に想像できます---特に、野鳥の扱い方が雑な悪質バンダーでは。

「最近では全国で毎年約20万羽の鳥が標識放鳥され」ているそうです。この20万羽に1.3%をかけると2600が出ます。毎年2600羽の野鳥がバンディング時の事故で命を落としているのです。5年で13000羽、10年で26000羽、この先40年間では10万羽を超えるのです(いえ、上記理由から、もっともっと大きな数字と想像されますね)。これまでの40年余りで、さしたる成果はほとんど無いわけです。ですから、同じ方法を使う限り、今後40年間でも同じと考えるのが普通でしょう。10万羽以上の犠牲を払って、成果ナシ。死んでいった野鳥たちに顔向けできないじゃありませんか!! 

さらに、バンディングが済んで、放鳥後に命をおとす割合はどうでしょうか。自然死の割合よりどれくらい高くなるのでしょう。渡りの季節の離島でのバンディングでは、放鳥後の死亡率は突出して高いのではないでしょうか---ただ足環をつけるのではなく、いじりまわして観光客にあれこれ説明するのですよ。

 

かすみ網による捕獲と足環装着による標識調査を抜本的に見直すべきではないでしょうか。かすみ網・足環という方法論も、データ管理方法や研究テーマや資格審査など全てを。

 

もう一度かすみ網の話に戻ります。鳥飼氏が指摘されているように、かすみ網では事故が起こるのです。野鳥が網にかかると暴れます。当然です。暴れると網に絡まります。その結果、首が絞まって窒息してしまう事故も起こるのです。もし繁殖行動中の親鳥が、このような事故に巻き込まれたらどうなるでしょう。片親だけで残された雛たちを育てねばなりません。野鳥に詳しい方なら、片親だけの子育てが悲惨きわまりないことをご存じでしょう。最悪、この事故死した親鳥に加えて、雛たちをも殺してしまうのです。また、死なないまでも、バンディングで親鳥が長時間拘束されれば、その間に卵は冷えてしまうでしょう。孵ったばかりの雛は餌をもらえずどうなるでしょう。

 

(バンディング中の事故死の例ではありませんが、片親になったハヤブサの例です。母ハヤブサは、ガラスに衝突死した父ハヤブサのぶんまで狩りをしていました。夜行性ではないハヤブサが夜になっても狩りをやめないのです。素人目にもはっきりと疲れ果てた母ハヤブサの様子がわかりました。そしてついに、この母ハヤブサはノイローゼ状態となって巣を放棄してしまいました。)

 

実際に、繁殖期にサンコウチョウ(雄)がかすみ網にからまって死んでいた事例があるそうです。「調査」は、はっきりした目的のもと、時期と地域と場所を考えて限定的に行うべきじゃないでしょうか。無差別に野鳥を捕獲して、

本当に野鳥保護のための「調査」なんですか?

 

もうひとつ。

「今までわからなかった日本の渡り鳥の行き先や渡りのコースなどが、次第にわかるようになってきました」

この文言は三十数年前から全然変わってないんじゃないですか?どの鳥種の渡りのコースがわかったのですか?行き先のわかった鳥種の一覧を見せてください。1羽や2羽のデータじゃあ統計的に意味はないんですよ。きちんと公表された印刷物とか刊行物の一覧として、

業績リストを見せてくださいよ!! (`_´)

 

 

  サンコウチョウは、こういう小鳥です。(これは父さんサンコウチョウ)


 

前々からバンディングについて思うところがあったのです。

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一部の標識調査員の暴走の典型例だと思われるページをぜひ。ここにまとめてあります。---他のサイトにもたくさんあるのですが。。一覧表を作る時間がないので、コチラへどうぞ。

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