2005.9.5.  雨  カワセミ王国 ポイント:D0087point)


【ポチのお話】 ヤマセミの暮らしという本に出てくるワンちゃんのお話です。

 ポチは一九八〇年七月十六日から一九九三年十月二十一日まで生活を共にした愛犬です。犬の名前でポチとは、ありそうでない名前かもしれません。血統書に記されている正式な名前はドリー。一九七七年生まれのイングリッシュポインターの雌です。彼女が自宅に来たのは三歳になるニカ月前のことでした。彼女にとって私は二人目の主人。保健所へ連れて行かれる前日に引き取ったのです。当時自宅には一頭のプードルを飼っていましたが、さらにもう一頭飼うなどとは思ってもいませんでした。ところが、彼女と出会った瞬間そんなことを忘れてしまったのです。この犬があまりにも悲しい運命をたどってきたからかもしれません。ほっておくことができなかったのです。後にその犬がヤマセミを一日中守る番犬になるとは…・・。

 「このままではドリーが死んでしまいます」。そんな内容の電話が入ったのがそもそものきっかけでした。連絡はポチ(当時はドリー)が飼われていた家の近くに住む知人からのものでした。受話器から聞こえる声は切羽詰まっています。ポチの飼い主があまりにもひどい扱いをしているので、隣人とはいえ我慢できないというのです。声は次第に涙声となり、これはただ事ではないと直感しました。ポチの食事は一日一回、しかも与えられるのは食パン一枚というのです。成犬が一枚の食パンで正常に生活できるわけがありません。空腹のあまりポチが「ヒイ、ヒイ」と鳴くと、飼い主は「うるさい犬だ」と言って竹や木の棒で全身を叩くというのです。彼女が痛がってさらに鳴くと棒での仕打ちが続くと聞かされたときは信じられませんでした。犬にこれ程ひどいことをする飼い主が本当にいるのでしょうか。信じろという方が無理ではないでしょうか。

 その思いは翌日ポチと対面するまで続いていました。しかし主人によって私の前に引きずられるように連れてこられたポチの姿を見た瞬間、昨日の知人の話がうそでもオーバーなものでもないことを知ったのです。「こんな姿になってまで犬は生きていられるのか。」驚きを通り越して感心してしまい、次第に身震いするような悲しい気持ちになったのを今でも忘れることができません。ポチは頭から尾の先までガリガリにやせ、動くたびに骨の動きが手に取るようにわかるほどでした。体は水分を失い、まるで物干し竿に薄汚れた黒と白のまだら模様の布を引っかけたような哀れな姿でした。猟犬として生まれつきもっている精惇さのひとかけらも感じられませんでした。その日から彼女はわが家の一員として迎えられることになったのです。

 もちろん初めから引き取るつもりで出かけたわけではありませんが、飼い主はポチを飼う前に飼っていた一頭のビーグルを山中に置き去りにしてきたことを平然と話したからです。車に乗せた犬を山中の道路に放してきたというのです。そのとき、車には小学校三年生になるわが子が同乗していたとのこと。この犬もあの子(わが子)がほしがったから再び飼ったのだと悪びれた様子もなく、自分が何をし、何をしようとしているのか全くわかっていないらしい。「ドリーがいなくなってしまったら、娘さんががっかりするのではないですか」と聞くと、予想もしない返事が返ってきたのです。「娘ももう飼いたくないと言っている」。空いた口がふさがらないとはこのことかもしれません。犬を単なるおもちゃとしか思っていないようでした。親が親なら子も子なのだろう。このような人に犬の飼い主としての心構え、責任を説いても聞く耳をもつはずがありません。飼い主に名前を呼ばれるだけで、ドリーはやっと立っていられるようなか細い足を小刻みに震わせています。主人に忠実であるはずの犬の態度は少しも感じられませんでした。自分で飼い主を選ぶことのできない犬たち。このような不幸な運命のまま死んでいく犬は他にも多いのかもしれません。そんな犬を目前にして私ができるのは、ドリーを引き取り、彼女が受けた深い心の傷を少しでもいやしてやることだけでした。

 ドリーと呼べば悲しくつらい過去を思い出させてしまうかもしれない。この日から、ドリーはポチになったのです。自宅に連れ帰り、さっそく食事を与えました。冷凍の鶏と米を混ぜ、その中に一握りのドッグフード。ポチは食器まで食べんばかりの勢いであっという間にたいらげてしまいました。生まれて初めて食べたのかもしれません。さらにほしそうでしたが、初めから多く与えれば体調を崩す恐れがあります。しばらくの間、一回の食事量を減らし、一日の食事の回数を増やすことで体調を整えていきました。

 ポチはとてもおとなしい犬でした。それも異常なほどでした。自宅に来て半年もたつというのに、老犬のように何かを考えてふさぎこんでいるような毎日を過ごしていて、三才の犬とは思えませんでした。こんなポチを私はことあるごとに部屋の中に入れました。家族と一緒のベッドに入って寝ることも度々でした。

 彼女が初めて吠えたのは、我が家に来て一年が過ぎようとしているときでした。この間、一度も「ワン」と吠えたことがなかったのです。過去に味わった恐怖は体だけでなく、心までもズタズタにしてしまったのかもしれません。この日、吠えたといってもまるで蚊が鳴くような小さい声で、うっかりすると聞き取れないほどでした。ポチが吠えた相手は庭を横切って行った猫でした。それから、少しでも吠えた時はできるだけオーバーアクションでほめるようにしました。悲しい運命をたどってきた彼女にとってはそれが必要なことだと思ったからです。この日を境にして、ポチには次第に四才犬らしい動作が見られ始め、のびのびとして行くのがわかりました。一緒に散歩しているときも全身を使って楽しそうな様子を表現し、嬉しそうに歩くようになっていきました。体格はたくましくなり、全身がガリガリだった面影はすっかり消え、胸の筋肉もがっちりしてポインターらしい体格となり、とても同じ犬とは思えないようになりました。

 彼女はとても記憶力のよい犬でした。訓練らしい訓練をしたわけでもないのに、次から次へと覚えていきました。マテと言えばヨシの号令がかかるまで、フセの姿勢でいつまでもその場にいることができました。記憶力がよいというよりも、私が命じる態度や表情で何をしたらよいのか考えているように感じるのです。こちらが愛情と思いやりをもって動物に接すれば、相手は人間を信頼し、その結果、その動物がもっている能力を思う存分発揮することができるのではないでしょうか。

 

 ヤマセミの暮らし,神保賢一路,文一総合出版(1997), p.135-138を引用

筆者の神保賢一路氏はヤマセミの調査と保護に取り組んでおられます。皆さんにも是非、購入してお読みいただきたいと思います。amazonなら便利ですよん(^◇^)。

 

さて、野生動物の保護に取り組んでいる方が皆、神保賢一路氏のような方だったら安心してエールを送ることができます。しかし、ワタシはそうではないんじゃないかと感じるわけなんです。このポチのお話にでてくる虐待親子が、ダブるんですよ。ああいう人たちと。

ページトップの写真はウチのリキ丸です。リキ丸は捨て犬でした。車にはねられてうずくまって動かないところを保護されました。状況から、前の飼い主は、わざわざ遠くまで来て捨てて行ったことが想像されます。さいわいケガはかすり傷でした。縁あってウチにもらわれてきましたが、最初は、このポチと同じように吠えないし、なにか怯えたような表情をしていました。おそらく前の飼い主も虐待していたのでしょう。いまでも時々、リキ丸は反射的に噛みつこうとします。大きな音におどろいたりした時です。虐待された時のことがフラッシュバックするのでしょうか。反射的に噛みつこうとしたあと、ハッと我に返って、ワタシにすまなそうな目をします。彼は何も悪くないのです。犬だって、野鳥だって、辛いとか悲しいと感じる心があるのです。このことを知らないで、あるいは忘れて、生き物に接することだけはして欲しくありません。

 


 

前々からバンディングについて思うところがあったのです。

和田剛一カメラマンのwebサイト http://www.asahi-net.or.jp/~yi2y-wd/ まだ死んでないぞ。元気いっぱいだぞ。

ウチのBBSもご覧頂けるとうれしいです。 BBS長玉のお部屋

一部の標識調査員の暴走の典型例だと思われるページをぜひ。ここにまとめてあります。---他のサイトにもたくさんあるのですが。。一覧表を作る時間がないので、コチラへどうぞ。

*お読みになった率直な感想をぜひ掲示板へお願い致します。

 

抗議メールを送ってはいけません!ご注意!

まずは、現状を多くの人に知らせることだと思います。野鳥に興味のない人や野鳥を知らない人にも見てもらいましょう。家族や友人や彼女や彼氏にも、見てもらいましょう。webサイトを運営されている方は、ご自分のサイトで紹介してください。野鳥系のサイトでなくても、全然違う分野のサイトだって構いません。義憤にかられて抗議メールを送ったところで前進はないと思います。まずは、多くの人に知らせること、コレ、重要なのです。

・「じゃあ何もしないの?」………近いうちに報告できると思います。


  

--ご意見表明してくださったり、バンディング問題を紹介してくださったサイト--

ありがとうございます

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